内容証明郵便を出そうとしている場合、知っていた方が良いことがいくつかありますよね。今回はそのうち2つのことを紹介します。
その1は、内容証明郵便の法的効果です。
その2は、実務的な話ですが、相手方に、内容証明郵便が届かなかった場合の対応策です。
目次
内容証明郵便の法的効果
まず、最初は、内容証明郵便の法的効果について述べます。
時効の完成を遅らせる
例えば、あと1か月で時効完成となる場合、「催告」によって時効の完成を6か月遅らせることができます(この場合、従来の時効完成5か月後までに延長されます)。そして、この「催告」から6ヶ月以内に裁判等を起こすことで時効の完成を防ぐ(時効を中断する)ことができます。つまり、「催告」は、消滅時効完成を回避するために活用され、その後、提訴する(民法147条1号の「請求」)ことで時効が中断します。なお、催告から6か月後までに、提訴や相手方の承認などがなされないと、催告の効力が失われることになります(民法153条)。この「催告」の段階で、内容証明郵便による通知書が利用されるわけです。
言い換えると、内容証明郵便を受領すると、相手から6か月以内に提訴されるということを覚悟せねばならないことになります。
確定日付のある証書による通知又は承諾にあたる
民法などには確定日付による通知等をしなければ、法律的効果を生み出さないと定めてある規定がいくつかあります。例えば、民法467条には、債権の譲渡の第三者対抗要件が、確定日付のある証書によるとありますが、この「証書」に内容証明郵便はあたります。
このほか、その後の法律関係に重大な影響を与える内容や、後の訴訟で重要となる内容などを、相手方に通知する(例えば、契約解除等の通知、相殺の通知の)場合に、内容証明郵便は活用されます。
このように、内容証明郵便の法的効果を知ったうえで、この制度・システムを有効活用することが宜しいですね!
内容証明郵便が相手に届かなかった場合の対応策
つぎに、内容証明郵便を準備して送ったのに、相手に届かない場合には、いくつかのケースがありますので、順番に検討してみます。
住所氏名に誤りがあった場合
郵便局員が配達に行き、該当する住所に該当する人(法人)がいないことを確認して宛先不明の通知表を付けて戻してきます。
宛先の単純な記載ミスであれば、もう一度住所や氏名を正しく記載して出し直せよいです。しかし、該当する住所に本人(法人等)がいない場合は、現住所を調べなおす必要があります。その手法は色々ありますが、ここでは割愛します。
本人が(長期)不在の場合
宛先の住所に確かに本人がいたり、法人が有るにも拘らず、郵便局員が配達に行ったときには、住人などが不在であったら、「不在等連絡票」を残して郵便局に持って帰ります。そして、7日間の保管期限の中で本人が郵便局に取りに来ないとか、再配達を依頼するとかしないと発送人の手元にもどってきます。
この場合は、内容証明郵便が宛先に届いていなので、何の法的効果も発生しておりません。したがって、再度内容証明郵便で出しなおすことがベストです。再び内容証明郵便を受取るときに本人が不在でないことの確認ができればよいのですが、たまたま不在となることはあり得ますので、メールやFAX等の他の手段で相手に連絡がつくなら、書面そのものを送り付けておいて、本人が内容証明郵便を受取拒否した場合と同様に、レターパックライトで同一物を送っておくことが考えられます(普通郵便による特定記録で再送付)。
本人が内容証明郵便を受取拒否したら
郵便局員が内容証明郵便を配達に行ったものの、本人が受け取り拒否する場合があります。この場合は、受け取り拒否した記録付きで戻ってきます。受取拒否という記録が残りますので、一定の法的効果が出るというお話がありますが、相手は郵便物の中身を見ていないので不完全(不十分)で法的には不安定です。このように、受け取り拒否された場合、再度、内容証明郵便を出しても受取拒否をされる可能性は高いです。
そこで、メールやFAX等の他の手段で相手に連絡がつくなら、書面の写しを送り付けておきましょう。
また、戻ってきた来た郵便物をそっくり、レターパックライト(¥370)で送りつけるということが考えられます。レターパックライトは、宛先の郵便受けに届きますし、その配達の記録が残ります。ちなみにレターパックプラス(¥520)では、本人の受け取りの印鑑やサインが必要となり、受け取り拒否のリスクが高まりますので今回は使わないほうがよさそうです。
このほかにも、内容証明郵便が相手方に届かなかった場合、直接持参することもあります。相手先へ後日の証人となってくれる人と連れ立って行き、同文2通をもって1通を手渡して、相手からその受領証をもらいます。1通を手元に残します。また同行人には、後日必要となった場合にその受け取りの証人となってもらいます。相手方が、それでも受け取りを拒否したら、その場で内容証明郵便の内容を読み上げ、同行した人がその旨の証言を後日してもらうということあります。
そのほか、特殊な方法としては、公示送達という手続きもありますが、裁判等を前提とした、契約解除や債権譲渡などの場合ですので、ここでは説明を省略します。
このようにして、相手に届かなかった内容証明郵便を、相手に届ける努力をすると、後日の問題解決の際に通知の有無をめぐる争いには役立つことと考えます。
ちなみに、内容証明オンラインでは、内容証明郵便について各種代行サービスを提供しております。何かお困りの場合は、内容証明オンライン https://lp.naiyoo.jp/ ☎050-6871-3893にご相談ください。