戒告（譴責）処分する際に内容証明を使う理由。書く際のポイント

2019年1月16日 2022年9月17日

編集部

従業員を戒告処分にする際に、内容証明は有効か？

一般的な会社の従業員に対する処分では、

戒告（譴責）→出勤停止→減給→論旨解雇→懲戒解雇

の順番で処分が重くなるのが一般的です。

ご覧いただくとおり、戒告はこの中でも一番軽い処分となります。

戒告の意味合いとしては、文章により従業員の犯した規則違反をいましめるという意味合いになります。

よくある戒告処分の理由としては、個人情報の入ったパソコンを紛失したといった企業情報管理の問題や、無断での欠勤を繰り返すといったことです。

これらの就業規則違反を口頭での注意で終わらせずに、文章ベースで従業員にしっかりと通知するのが戒告処分の役割になります。

通常は戒告処分を行う際は、文章を手渡して署名させるやり方が一般的です。しかし、従業員が出勤していなかったり、フォーマルな形で真剣さを相手に伝えたい場合、また戒告処分を通知したと後々証明したい場合には内容証明郵便を使い、戒告処分を行うのが有効になります。

そもそも内容証明郵便とは？

内容証明郵便とは、

郵便の一種であり、いつ送付し、どのような内容が記載されており、相手が受取ったことを日本郵便が証明してくれるという点が他の郵便と大きな違う点になります。

他の郵便と同様に法的な効力はない郵便ですが、内容証明を利用することで、

「郵便を受け取った」とか「受け取っていない」とか

「受け取った郵便にはそんなことは書かれていなかった」

など根本的なところで争いになることを防ぎ、しっかりと相手に通知したことを証明できます。

懲戒解雇で内容証明を使うメリットは？

通知したことを証明できる

従業員が出勤して以内場合は、対面で通知書を渡して署名させることができないので、郵便にて通知書を届けることになります。この際、内容証明を使用するメリットとしては、上記でも述べた、郵便にて戒告した旨をしっかりと相手に伝えたと証明できるという点です。

そもそも、戒告処分通知書を受けた受けていないという根本的なところで争いなることを防ぐことができます。

真剣さを伝えることができる

次に大きいのは、内容証明というフォーマルな形式で伝えることで相手に対して真剣さを伝えることができます。普通の人は、内容証明を人生で受け取ることなどほとんどないため、このような特殊な郵便が届いた時点でことの重大さを伝えることができます。

また、内容証明は裁判になる前に相手との紛争を解決する手段として使われることが多く、内容証明を受けとった側に会社は真剣に重大な事として対応しているということを伝えることができます。

出勤していない場合にも伝えることできる

当該従業員が出勤していない場合は、会社で通知書の署名をしてもらうことができないため、内容証明を直接住所宛に郵送することで即刻戒告処分を相手に伝えることができます。

裁判になったときに証拠として使用できる

最後のメリットとして、従業員の間で万が一、将来裁判になった際に、証拠として利用できることです。裁判の論点の中では、「従業員に規則違反を従業員に適切に通知はされたのか」が大切になりますが、無い湯証明郵便はそのようなことを証明する手段として有効です。

内容証明を書く際に気をつけるべきポイントは？

内容証明郵便を書く際に、ポイントが何点かありますので抑えておくと良いでしょう。

就業規則を記載

まずは、今回戒告に該当する理由になった就業規則をしっかりと述べます。

就業規則の内容までは書く必要はありますせんが、「就業規則第３条により貴殿を戒告処分に付することを通知いたします。」のように該当する就業規則を明示することが大切です。というのも、原則として就業規則で定められた事象以外に対して戒告処分をするのはできないからです。

解雇につながる理由を記載

次に、懲戒解雇につながる客観的な事実を述べます。例えば、「貴殿は、令和４年５月１日に、顧客の個人情報が入っているカバンを紛失した。」というようにはっきりと事実を示すことが必要です。戒告理由が後々不当だったとして後々もめないようにしっかりと示すためです。

封筒の題に気をつける

最後に郵便を出す際は、「戒告処分通知書」などと封筒に書かないことをおすすめします。もし書いてしまうと、その封筒をみて相手が受け取り拒否をする可能性があるためです。受け取り拒否をされてしまうと相手に受け取らせることが今後難しくなるため、「親展」などだけ書いて送るほうが良いでしょう。同様に相手に、いつ通知の内容証明郵便送りますなど伝えないほうが良いでしょう。